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壷田和宏・亜矢
2024年はじめの企画として、宮崎県高千穂町を拠点に活動を行う陶芸家 壷田和宏・亜矢さんの展覧会を開催します。これまで土鍋やテーブルウェアを中心に取り扱いさせていただいていましたが、展覧会は初めての取り組みです。 SNSを通じて垣間見える彼らの暮らしぶりに興味があり、コンタクトをとったのが約2年前。昨年2月に念願叶ってはじめて高千穂を訪れ、その後、12月にも再訪し彼らの暮らしぶりに触れてきました。ここでは、そのときの話を紹介しようと思います。 壷田さんの住まいまでは熊本空港から車で約1.5時間。 ワクワクしながら指定の住所に向けて車を走らせました。あえて阿蘇山を通る遠回りなルートを選択。 冬の阿蘇は黄褐色が一面に広がり、その景色はまるでカリフォルニアの砂漠地帯とも重なるような、日本じゃないような不思議な感覚がありました。 そうこうしているうちに、到着。 セルフビルドしたであろう、雰囲気の良い家屋と、山の斜面にはポツポツと見えるいくつかの小屋。 まわりは山に囲まれていて、どこからどこまでが壷田家の敷地なのかわかりませんが、山羊や鶏たちも自由に生活しています。 そしてもちろん奥のほうには窯が。 出迎えてくれた和宏さんが「お昼にしましょう。」と食卓へ案内いただき、地元の食材をふんだんに使ったなんとも贅沢な最高の手料理を振る舞ってくれました。 壷田さんたちの暮らしの環境を目の前にした際に、アーティストである坂口恭平さんが自身の著書の中で“家”について言及した一節が、ものすごくリアリティを纏って脳裏を巡りました。 〈住人自ら作った家というのは、絶えず運動と変化を繰り返し、秩序とずれが同居している。輪郭は常にゆらゆらと揺れ、しかもそれが調和をうみだしている。その姿は建築物という3次元の世界を軽く飛び越えてゆく。〉 余談ですが坂口恭平さんも壷田ファンとのことです。 食事をしていても会話をしていてもやはり気になるのが、どこに視線を置いても目にはいる作品の数々。 家の中や工房内はもちろん、彼らの広い敷地内のどこを見渡しても至る所に作品が点在しています。 片っ端から手に取りたいほどですが、もちろんそれをしていると時間がいくらあっても足りないので断念。 彼らの生活の中心に創作活動があることは、この環境を見れば明らかでした。 点在する作品は彼らの日々の軌跡といえるでしょう。 その後、展覧会にむけた内容をぼんやりと考える中で、個人的に初めて手にして愛用しているシンプルな白磁の器を紹介したいと感じるようになりました。 今回の展覧会は白磁の作品を中心にリクエストしています。 それとは別に、普段とは違うモノづくりの提案もしてみました。 彼らの自由な発想と技術、加えて暮らしを楽しむ好奇心のカタチは食卓のツールだけにはとどまらないはず と考えたためです。 そんなある意味無茶な投げかけに応じていただき見せていただいた作品が、案内状にも起用したバードハウス(鳥の巣)。 野生のシジュウカラが好む巣穴のサイズを再現するあたりに、壷田さんの好奇心が伺えます。
壷田和宏・亜矢
2024年はじめの企画として、宮崎県高千穂町を拠点に活動を行う陶芸家 壷田和宏・亜矢さんの展覧会を開催します。これまで土鍋やテーブルウェアを中心に取り扱いさせていただいていましたが、展覧会は初めての取り組みです。 SNSを通じて垣間見える彼らの暮らしぶりに興味があり、コンタクトをとったのが約2...
Carl Auböck
この会社に入社して初めての海外出張は、オーストリアでした。中原さんとの海外出張は初めてだった上に大先輩方も一緒で、緊張しっぱなしでとにかくついて行くのやっとの旅でした。そんな中でも、旅の目的だった真鍮の工房 Werkstätte Carl Auböckに心躍らせたのをよく覚えています。 現在のカール・オーボックの祖父にあたる2代目カールオーボックは第一次世界大戦後バウハウスにてデザインを学び、私たちの知っているいわゆる ”Carl Auböck” のモダンなデザインを確立しました。2012年に出版された「CARL AUBÖCK THE WORKSHOP」の中のインタビューでもウォルター・グロピウスの名前が度々登場します。アメリカに渡ったグロピウスがアレンジして、3代目カール・オーボックがイームズの家にホームステイしたことや、Leslie Williamson の 「Handcrafted Modern」にあるグロピウスのデスクにはオーボックのペーパーウェイトが並んでいるのを見ると、親交の深さが伺えます。 私が工房を訪問したのは2013年、marimekkoのストライプシャツがよく似合う4代目カールオーボックが案内してくれました。 アーカイヴの部屋には、Playmountainでおなじみのオブジェやブックエンド、キーリング以外にも、ドアノブやつまみ、壁に取り付けるフックなど、彼らの生み出す表情豊かな製品が並んでいました。余談ですが、系列店のtasyardとcoffee kiosk sendagatyaのドアノブはCarl Auböckのものを使っています。 大切に保管している原型も見せてくれました。代々丁寧に受け継いできたことが伺えます。 カールオーボックは自社の製品だけではなく、カトラリーや食器、鍋、キッチンツール、テキスタイルなど、これまでにたくさんの製品を世に送り出してきました。工房にはそういったデザイン仕事のアーカイブもたくさんありました。 とあるお店にあった食にまつわるプロダクトのカタログからは、木、エナメル、ガラス、金属とさまざまな素材と関わっていたことをがよくわかります。色使いやシルエットなど、チャーミングな要素があり面白いです。 Playmountainもこれまでに、オリジナルのリングやネックレス、レザーのブレスレットを制作してもらいました。画像は、サンプル作ってみたよと見せてくれたもの。特別制作の相談にも面白がって取り組んでくれるのも彼らの良いところです。今も販売しているものもありますので、Online Shopもぜひ覗いてみてください。 Carl Auböck の存在を知ってから、ずっと欲しかったナイフを最近手に入れました。緩やかにカーブした曲線がきれいなシンプルなシルエットで、持ち手に籐が巻かれています。 元々はフルーツナイフなのですが、私はバターナイフとして使っています。バターを塗るという単純な動きですが、好きな道具を使うことで、食事の楽しさが増していることに気がつきました。まだまだ私のAuböck 熱は冷めそうにありません。年をとってもきっとこの思いは変わらないんだろうなと思います。 木下...
Carl Auböck
この会社に入社して初めての海外出張は、オーストリアでした。中原さんとの海外出張は初めてだった上に大先輩方も一緒で、緊張しっぱなしでとにかくついて行くのやっとの旅でした。そんな中でも、旅の目的だった真鍮の工房 Werkstätte Carl Auböckに心躍らせたのをよく覚えています。 現在の...
Dan John Anderson
少し前に、カリフォルニア州ジョシュアツリーの少し北にスタジオを構えるウッドターナー、ダン・ジョン・アンダーソンを訪ねたときの事を。ジョシュアツリーはロサンゼルスから車で約3時間、ひたすら東に向った砂漠地帯で、大きな国定公園を中心に名前の通りのジョシュアツリーがあちこちに自生している。 ジョシュアツリーはこのエリアの固有種で、夏は気温が40度まで上がるし、冬になると今度は雪が降るほど寒くなる。この極端な気候と標高やさまざまな条件がきっとこの植物には必要で、日本には無いこの特殊な気候がぼくらにとって、特別な場所に感じる理由の一つなのだろう。 長いドライブの終盤、ジョシュアツリーが見え始めると、頭は仕事モードに。途中アンティークモールに寄って面白いものを探すが、来るたびにアンティークモールがどんどん減っていて、その寂しさを感じつつも、若い人が始めたお店が増えていたり、市内から離れたエリアでもどんどん変化をしている様子からはいつもパワーを貰える。そんな事を思いながらダンのスタジオへ向かう。 北にひた走ること15分、ようやく到着したスタジオで、「あれ…?」。びっくりした事に、数年前に会社でお手伝いをしていたブランドの撮影で訪れたのがまさしく彼のスタジオ(兼自宅)だったのが分かったのだ。 この巡り合いを偶然と呼ぶものかと感慨に入りつつも、その時より更に充実したスタジオに興奮する。ようやく会えたダンと挨拶(撮影のときには本人は不在だった)を交わし、スタジオを案内してもらいながら、話をしていると僕らの付き合いのあるカリフォルニアの色んな作家と繋がっている。案外近くにいてもタイミングが合ってようやく繋がるんだなと、またひとり感慨深く思った。 ダン・ジョン・アンダーソンはワシントン州東部に生まれ、オレゴン州ポートランドで学び育つ。 オレゴン芸術工芸大学卒業後、2012年に拠点をカリフォルニア州ジョシュアツリーに移し、アンドレア・ツィッテルやアルマ・アレンの元で働き、現在のスタイルもその中で確立して行ったのだろうと想像出来る。 彼がウッドターニングで作り出すフォルムは、曲線と強いエッジが特徴的ながら、エッジを強く残した作品でもどこかおおらか。仕上げも同じくで、今までPlaymountainで紹介してきた作家ともまた違う作風を感じてもらえたら。 そして7月にはCURATOR’S CUBEで日本で初めての個展を開催する予定で準備を進めてくれているが、この今の状況を共有しつつ、一番良いタイミングを一緒に話し合っていけたらと思っている。 ひとまず、PlaymountainとCURATOR’S CUBEに数点すばらしい作品が到着していて、今は生憎店頭では見てもらうことは出来ないけれど、1点のみオンラインストアにてご覧いただける。 *バイオディーゼルのランドクルーザー60はまだまだ現役 たくさん話をして、別れる前にダンが最後に連れて行きたいと、とっておきの場所に案内してくれた。車でオフロードコースのような道をしばらく走った先にある、ダンの特別な場所だ。 広すぎる岩肌と空と日差しを見ながら、きっとまたこの絶景と、もちろんダンにも会いにスタッフたちも連れて来たいなと思う。 *撮影で借りたトレーラーも当時のまま そして最後に、この辺に来たら絶対に外せないレストランがここ(ダンが連れて行ってくれた La Copine も最高だったけど)。 パイオニアタウンって地名も最高だし、PAPPY&HARRIETSは名前に負けないくらいのお店のザ・アメリカンな雰囲気・料理・客層・音楽全部がここの特別なものだ。日が合えば、ライブも本当に最高で、裏のモーテルが空いてれば、そのまま歩いてチェックインできる。 乾いた空気の写真を見返しながら、記憶を整理する時間ができた事を前向きに捉え、いつでも動けるように次の計画をしっかり立て、面白いことが伝えられるように、チームのみんなと準備を進めている。 池田 陽介
Dan John Anderson
少し前に、カリフォルニア州ジョシュアツリーの少し北にスタジオを構えるウッドターナー、ダン・ジョン・アンダーソンを訪ねたときの事を。ジョシュアツリーはロサンゼルスから車で約3時間、ひたすら東に向った砂漠地帯で、大きな国定公園を中心に名前の通りのジョシュアツリーがあちこちに自生している。 ジ...